価値と反価値~人間の差異と秩序~」を公表します。

この論文は、1年前に発表した「価値とは何か~価値の本質と拡がりの確証~」で論じた、組織における分割の論理と創造の論理をさらに深く追及したものです。組織で皆頑張っているのになぜ足を引っ張ることを言う人間がいるのかといった、極めて日常的世俗的な問題意識が出発点です。

実は、ここで思考の基軸になったのは、私の若い頃からの問題意識である人間の差異というものでした。「人間は皆平等である」というフレーズは、誰もが心地よい響きを感じるのではないかと思いますが、現実社会を見ると決してそうは言えない、そういう考えが若い頃から自分にはありました。個々の人間には差異があるという考えが頭から離れなかったのです。

この人間の差異が現実の社会に大きな影響を与えている、これを今回は追究したわけです。もちろん私は人と人との差別を認めるなどという気は全くありません。ただ、平等という言葉の心地よい響きで人間の差異の存在という厳しい現実を覆い隠すのが気に入らなかっただけなのです。

学生時代に「純粋人間関係論序説」という論文を書いたことは、このブログで何度も申し上げましたが、実は、所属していた中央大学の法哲学ゼミで3年時(昭和57年度)に「個人間における自然的差異と社会秩序」という論文を発表していました。法概念論を基礎に人間の能力の差異を論じたものでしたが、今回の論文と同じ問題意識に基づくものでした。

ところで、今回は、物神性や物象化論に対する私独自の理解、そして“物による支配”といった自分独自の概念も少々論じています。これらについてはまた改めて詳細に論じたいと考えております。ご期待ください。

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