社会、組織の理論を構築するための出発点となる、「拡がる自我」という論文を公表いたします。
この概念は、私が社会人となって仕事で様々な経験をし、苦労した中で考え出したものです。「自我拡大の欲求」、「拡大自我」といった表現をしたこともありましたが、今は「拡がる自我」という表現をしています。自我拡大の欲求は、私が20代の公務員だった頃よく使っていた表現です。しかしそれでは個々の人間の主体性が十分に表現できないと思い、拡大自我という表現を思いつきました。拡大自我と拡がる自我は中身はほぼ同じですが、前者は表現が少々硬いので、最近になって後者にしました。
欲求という概念は、人間を客体として扱うことにより出てくる概念だと思います。もちろん、それは有効な概念なので、否定するつもりはありません。経験科学の立場から表現するには不可欠の概念かもしれません。ただ、私は主体的な、実存的な概念から出発したかったのです。