「価値とは何か~価値の本質と拡がりの確証~」を公表します。
前回「善と正義」で、拡がる自我が拡がりの確証を求めるにあたって、他者と意味の共有を実現するための導きの糸である「善」を検討しましたが、今回は同じく拡がりの確証で重要な働きを持つ「価値」を追究しました。
出発点を商品の価値に置き、マルクスの「資本論」をもとに検討を進めましたが、日本では、この分野の学問的蓄積がかなり厚いので、執筆に半年以上かかってしまいました。社労士業務も忙しく、一時はどうなるかと思いましたが、やっと完成しホッとしています。
今回も学生時代に書いた「純粋人間関係論序説」という論文を思い出しました。この論文は今回扱った商品の価値も検討したもので、マックスウェーバーの言う支配の正当性に関して、労働価値説の重要性を論じ、近代社会の成立を歴史的に論じる内容でした。
当時、マルクスや日本のマルクス経済学者の書籍を読みながら、社会主義や共産主義はどうも自分としては賛成できないなどと思っていましたが、案の定、ソ連の崩壊でその感覚が正しかったことが証明されてしまいました。しかし、哲学的な思考にとって、マルクスの「資本論」や「ドイツイデオロギー」などの書物が、多くの知恵を私に与えてくれたことは確かです。カントやハイデッガーを勉強し始めたのもこのころです。
実は、今回の論文は、以前公表した「分割の論理と創造の論理」の内容を、より実践的に活かすために執筆を始めたものです。結局はいつもの通り基礎理論に終わってしまいましたが、今後は実務家を対象としたセミナー等で、社会や組織に対する新しい見方を積極的に提案していきたいと思っています。